☀️ シーン別 / 05

タクシーでのベビーカー
STROLLER IN TAXI

「ベビーカーごと乗れるの?」「チャイルドシートは要らないの?」を、乗り込むまでの手順に沿って整理します。

📚 もくじ

ベビーカーはタクシーに乗せられる

まず結論から。ベビーカーを持っていてもタクシーには乗れます。ベビーカーを持っているという理由だけで、当然に乗車を断ってよいわけではありません。

子どもを降ろし、畳んで積むのが基本

通常は、子どもをベビーカーから降ろして座席に乗せ、ベビーカーは畳んでトランクや荷室に積みます。畳む必要があるかどうか、どこに積むかは、車種・ベビーカーの大きさ・乗車人数によって変わります。

通常のベビーカーは、チャイルドシートの代わりにはなりません。走行中の座席として使わず、子どもの乗車方法は別に確保してください。

※ チャイルドシートとの兼用をうたう製品は例外にあたります。ただしベビーカーの形のまま積んでよいという意味ではなく、車載用の形に変えて、製品の指定どおりに固定して使う必要があります。

「そのままでいいですよ」と言われても

運転手さんが了承したとしても、ベビーカーの保護性能が変わるわけではありません。乗せたままにしてよいかどうかは、人の許可ではなく製品と車両の仕様で決まります。

畳まずに積める車両もある

「ベビーカーを畳まずに乗れるタクシーがある」という話を聞いたことがあるかもしれません。実際、広げたまま積める車両やサービスはあります。

ただし、これは子どもを乗せたまま走行できるという意味ではありません。「ベビーカーの積み方」と「子どもの乗せ方」は別の話です。予約や配車のときは、次の2つを分けて確認してください。

  • ベビーカーを畳まずに積めるか
  • 子どもをどの席に、どうやって乗せるか

ベビーカーを理由に乗車を断られたら

タクシーは、法令で認められる理由がない限り運送を断れません(道路運送法第13条)。ベビーカーを持っているという事実だけを理由に、乗車を断ってよいわけではありません。

一方で、ベビーカーや他の荷物を安全に積めない場合は、断られることがあります。トランクの蓋が閉まらない、荷物が運転の視界や操作を妨げる、といった状況です。対応が妥当かどうかは、そのときの具体的な状況によって変わります。

納得のいかない対応を受けたときの相談先は、このページの後半にまとめています。

乗る前にすませておくこと

タクシーは、停まってから乗り込むまでの時間が短い移動手段です。先に準備しておくと慌てずにすみます。

片手で畳めるか、家で試しておく

最初につまずくのがここです。子どもを抱いた状態で畳むことになる場面があるので、片手で畳めるかどうかを知っておくと段取りを決められます。

両手で押し下げるタイプや、離れた2か所のロックを同時に外すタイプは、抱っこしながらでは畳めません。一度、家で片手だけで試しておいてください。畳めないと分かっていれば、運転手さんに手伝いを頼む、付き添いの人と役割を決める、といった準備ができます。

折りたたみ方式そのものの違いは自家用車への積載術で詳しく扱っています。

畳んだときの大きさを測っておく

積めるかどうかは、車種と荷室の形で変わります。奥行きの数字だけでは決まりません。開口部の幅と高さ、荷室の形状も関係します。

畳んだ状態の幅・奥行き・高さを測って控えておくと、予約や配車のときにそのまま伝えられます。

母子手帳ケースに控えておく

寸法のメモを母子手帳ケースに挟んでおくと、外出先で急に呼ぶときにも使えます。ベビーカーの型番も一緒に書いておくと、問い合わせのときに話が早くなります。

荷物が多い日は、呼ぶときに伝える

ベビーカーに加えてスーツケースがある、きょうだいの分も積む、という日は、配車を頼む時点で伝えます。着いてから積めないと分かると、双方が困ります。

チャイルドシートを持ち込む場合や、双子用のベビーカーを積む場合は、乗車人数と一緒に相談しておくと確実です。

乗せるまでの手順

1. 子どもに付き添う人を決める

順番より先に決めることがあります。誰が子どもに付き添い、誰がベビーカーを扱うかです。

大人が1人で子ども連れの場合は、運転手さんにベビーカーの開閉や積み下ろしを手伝ってもらえるか相談してください。子どもを座席に1人にして、その間にベビーカーを畳んだり積んだりするのは避けます。

車が停まったら、乗り込む前に「ベビーカーを積みたい」と伝えます。畳み方に慣れが要るベビーカーなら、そのことも伝えておきます。畳み方を知らないまま手伝おうとして手間取る、という行き違いを防げます。

2. ストッパーをかけ、子どもを降ろしてから畳む

平らで安全な場所にベビーカーを止め、ストッパーをかけてから子どもを抱き上げます。乗せ降ろしの前にストッパーをかけることは、ベビーカーの取扱説明書にも書かれています。

子どもを降ろしたあとで、ベビーカーを畳みます。子どもを先に車内へ乗せる場合は、大人がそばに付き添ってください。ドアの開閉は運転手さんと声をかけ合い、子どもの手足と周囲の通行者を確認してから行います。

3. 積んでもらう

ベビーカーは、できるだけトランクや荷室に積みます。

車内に積む場合は、車両の取扱説明書に沿った積み方と固定方法を運転手さんと確認し、急ブレーキで滑ったり倒れたりしないようにします。視界・運転操作・乗り降り・シートベルトの使用を妨げないことも確認してください。安全に積んで固定できない場合は、別の車両を手配します。

※ 車輪のストッパーをかけることや、手で押さえておくことは、車内の荷物の固定の代わりにはなりません。

4. 降りるときは、付き添いながら

降りるときは、大人が子どもに付き添った状態で、ベビーカーを出して広げてもらいます。開閉ロックとストッパーを確認してから子どもを乗せ、ベルトを正しく装着します。

降りる場所は、運転手さんに相談します。安全に停車でき、歩道などにベビーカーを広げる場所がある位置が望ましいです。日本の一般的なタクシーでは後部左側のドアが乗り降りに使われます。周囲の安全を確かめてから降りてください。歩道側でも、自転車や歩行者の通行、段差には注意が必要です。乗り降りする位置は車両と停車場所によって変わります。

いちばん大事なこと

順番そのものより、子どもに付き添う人を確保できているかが大切です。大人が1人のときは、運転手さんに手伝いを頼むことを前提に段取りを組んでください。

チャイルドシートはどうなるのか

タクシーは使用義務の対象外

自動車で6歳未満の子どもを運ぶときは、原則としてチャイルドシートの使用が義務づけられています(道路交通法第71条の3第3項)。義務を負うのは運転する人です。

ただし、タクシーやバスに旅客として乗る場合は、この義務が免除されます(道路交通法施行令第26条の3の2第3項第6号)。チャイルドシートがなくても違反にはなりません。

なお、家族や知人の自家用車に乗せてもらう場合は、この免除は使えません。原則としてチャイルドシートが必要です。

なぜ免除されているのか

制度ができたときの国会答弁に説明があります。1999年の答弁で、政府はいつ何人の幼児が乗るか事前に分からず、多数のチャイルドシートを常備させることが運転者の過度の負担になるという点を挙げています。

つまり「抱っこでも安全だから免除された」のではありません。あらかじめ用意しておくことが現実的でないから、という理由です。免除されていることと、抱っこの安全性は別の話になります。

抱っこで乗るときに気をつけること

免除されていても、衝突したときに大人の腕だけで子どもを支えきることはできません。国土交通省も、抱っこでは子どもを支えきれないと説明しています。

チャイルドシートを用意できず抱っこで乗る場合は、次の3点を守ってください。

  1. 大人は自分の体にシートベルトを正しく締める。タクシーでも、後部座席を含めて着用は原則必要です
  2. 子どもと1本のベルトを共用しない。シートベルトは1人が1本を使うものです
  3. 後部座席を利用する

ただし、この3点は抱っこでの乗車の安全を保証するものではありません。日時が決まっている外出なら、次のようにチャイルドシートを用意する方法も検討できます。

チャイルドシートを用意する方法

方法は2つあります。

持参して取り付ける

子どもの体格に合い、乗る車両に適合するチャイルドシートやジュニアシートを持ち込みます。座席に置くだけでは十分ではありません。製品と車両の取扱説明書に従って設置し、子どもを正しく拘束してください。

拘束の方法は製品によって異なります。乳幼児用では専用のハーネスを使うものが多く、ジュニアシートでは車の3点式シートベルトを使うものがあります。取り付けられるかどうかも車両によって変わるので、乗る前に確認します。

持ち運びと取り付けに時間がかかるため、余裕をもって準備してください。

用意してもらえるサービスを予約する

地域によっては、チャイルドシートを準備して迎えに来る予約制のタクシーサービスがあります。子どもの送迎や乳幼児連れの外出を支援するサービスも各地にあります。対応できる地域・予約の期限・料金・シートの台数には差があります。

予約するときは、子どもの月齢・身長・体重・人数を伝えて、体格に合うシートを用意できるか確認してください。

サービス名だけで設備を判断しない

子育て世帯向けをうたうサービスでも、常に新生児対応のシートがあるとは限りません。「チャイルドシートあり」という案内だけで、うちの子に合うとは判断しないでください。予約のときに月齢と体格を伝えて、確認するのが確実です。

ベビーカーを積みやすい車種

ユニバーサルデザインタクシー

近年増えているユニバーサルデザインタクシー(UDタクシー)は、乗降口の開口部が広く、車内に高さがあります。ベビーカーを積み込みやすい車種があります。

ただし、積めるサイズや積み方は車種と乗車人数で変わります。また、UDタクシーには車いす用の乗降・固定設備がありますが、車いす用の設備があるからといって、ベビーカーにも使えるとは限りません。メーカーが認めていない用途に、自己判断で使わないでください。

ピンクのマークは何を表しているか

タクシーの車体にピンク色のマークが付いているのを見かけることがあります。これはUDタクシーマークの可能性があります。2020年4月以降に標準仕様のUDタクシーとして認定された車両に表示されるものです。

ただし、このマークが付いていても、ベビーカーに子どもを乗せたまま走行できるわけではなく、チャイルドシートが積まれていることを示すものでもありません。乗り降りのしやすさに配慮した車両であることを表す表示です。

なお、駅や商業施設で見かける「ベビーカーマーク」は、ベビーカー使用者が安心して利用できる場所や設備を示すマークです。タクシーで子どもをベビーカーに乗せたまま走行できることや、衝突時の安全性を認証する表示ではありません。名前は似ていますが、意味が異なります。

積めるかどうかは、寸法の数字だけでは決まらない

「トランクの奥行きが何cmあれば入る」という共通の目安はありません。車種・年式・積まれている機器によって荷室は変わりますし、開口部の幅や高さ、荷室の形状も関係します。

確実なのは、畳んだときの寸法を伝えて確認することです。乗車人数と他の荷物も一緒に伝えると、判断してもらえます。

配車アプリで指定できること

配車アプリによっては、スライドドアの車両やミニバンを指定できます。対象の地域・利用条件・料金・配車できる台数は、アプリごとに違います。

注意したいのは、車種を指定してもチャイルドシートが付いてくるわけではないことです。希望のベビーカーが必ず積めるとも限りません。

チャイルドシートを指定して予約できるサービスもありますが、対応はアプリ・事業者・地域によって変わります。通常の配車注文だけでシートが用意されるとは限らないので、利用するサービスの最新の案内を確認してください。

料金について

通常のタクシー利用では、安全に積載できるベビーカーを荷物として持ち込むこと自体に、追加料金はかかりません。

ただし、迎車・予約・車両指定の料金や、アプリの手配料、サービス独自の料金がかかる場合があります。事業者・地域・サービスによって異なるため、予約のときに確認してください。運賃はメーターで決まるので、確認するのは運賃の目安と、別途かかる料金になります。

困ったときの相談先

乗車を断られた、対応に納得がいかない、というときの相談先です。

まず、利用したタクシー会社に連絡します。会社が特定できるように、領収書やアプリの乗車履歴を残しておいてください。利用した日時と乗降場所も控えておきます。領収書がない場合は、会社名・車両のナンバー・場所・時刻が手がかりになります。

会社への相談で解決しない場合や、外部の窓口に相談したい場合の窓口は、内容によって分かれます。

相談先扱う内容
地域を管轄する
地方運輸局・運輸支局等
乗車拒否など、タクシー事業者の営業・運送に関する相談。担当部署は地域によって異なる。沖縄は沖縄総合事務局の運輸部門
対象地域の
タクシーセンター
対象の地域・車両について苦情を受け付ける窓口。公益財団法人であり、行政機関ではない。受付の対象は各センターで異なる
消費者ホットライン
188
料金・契約などの消費者トラブルについて、身近な消費生活相談窓口を案内する全国共通の番号。相談は無料だが通話料がかかる

※ タクシーセンターは対象の地域が決まっています。たとえば東京タクシーセンターが扱うのは、東京23区・武蔵野市・三鷹市に事業所のある車両で、運賃の返金といった民事の問題は受付の対象外とされています。受付の条件はセンターごとに違うので、相談先の案内を確認してください。

急な受診に備えておく

夜間や休日に子どもの具合が悪くなったとき、タクシーが移動手段になります。落ち着いているうちに準備しておくと、当日に迷いません。

  • タクシー会社の電話番号と配車アプリを、すぐ使える状態にしておく
  • アプリのアカウント登録と支払い方法の設定を、平常時にすませておく
  • ベビーカーの畳んだ寸法のメモを、母子手帳ケースに入れておく

緊急性が高いときは119番へ

呼びかけへの反応がない、呼吸が苦しそうなど緊急性が高い場合は、タクシーの手配より119番通報を優先してください。

急いでいるときほど

急な移動では、チャイルドシートを用意する余裕がなく、抱っこで乗ることになりがちです。そのときも、大人のシートベルトは締めてください。子どもと1本のベルトを共用しないことも変わりません。